第21章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【3】
切島がいなくなった。
その事実を知ったのは、校舎内にあの音が鳴り響いてからだった。
トイレに行ったことを緑谷から聞いた彼らは、頭ではわかっていてもその目で確認せずにはいられなかった。
実際、切島の姿はどこにもなかった。
そして轟の姿も。
一人、また一人と消えていく。
いなくなった彼らは無事なのか、次は誰が消えるのか、消えた後はどうなるのか。
そんな言い知れぬ恐怖が、彼らを襲う。
プロヒーローのホークスでさえ不安と焦りを感じているのだ。
まだ子供である彼らがそれを感じないわけがない。
特に、ヒーローを目指しているとはいえ実戦経験のない心操は、恐怖で身体中の血液が逆流しそうな感覚に陥る。
手詰まり状態の中、大人しくただ黙って待っていることなどできない男が一人いるのだが、全員余裕などなくそのことに気が付く者は誰一人としていなかった。
男は舌打ちをすると、A組の教室とは反対の方へと歩きだした。
「かっちゃん!?どこに行くの!?一人は危険だよ!!」
「うるせえ!!黙って待ってられるか!!」
「相澤先生も轟くんもみんないなくなってるんだよ!!一人で行動したら……」
「うるせえっつってんだろ!!このまま大人しくしてたところで何か変わんのか、ああ!?」
「そ、うだけど……。でも、今僕たちは"個性"も使えないんだよ」
「だからてめぇはいつまでたってもクソナードなんだよ」