第14章 【五条&七海】死んだ方がマシだった【R18】
「ナナミンお疲れ様!!あ、アンタこの間の……?」
五条の事務所は8階立て雑居ビルの3階にある。
七海に連れられ再び事務所を訪れたは、入るなり大声で叫ばれ目を丸くした。
うるさいですよ虎杖君、と七海が眉を顰める。
自分を指差している男に見覚えがあった。
確か、昨日五条に連れられてきた時に事務所にいたメンバーの一人だ。
「こんばんは、お邪魔します」
兎に角挨拶をと、がぺこりと頭を下げた。
事務所には男が2人いた。
一人は虎杖と呼ばれた若い男。
短めのピンク頭に複数のピアスと、スーツさえ着ていなければ今時の若者といった風体だ。
もう一人は、ソファーに腰掛けこちらをみている、五条や七海よりも大きな体をした男。
右側の口の端に傷がある。
―――が弟を助けに店に出向いた際に、五条の後ろにいた男だった。
「あのさ、なんでそんな首元に絆創膏貼ってんの?怪我?」
虎杖に突然話しかけられ、そのいきなり核心を突くような内容にが目を見開く。
この下の皮膚には、他人には見せられない多数の内出血があるのだ。
「……え、と、そんな感じです」
「え⁉大丈夫?ちゃんと消毒とかした?」
「い、一応しました……」
誤魔化すように、無理矢理に笑う。
明るく元気で、お人よしっぽそうなこの青年もまたヤクザの一人なのかと思ってしまう。
「そっか、ならよかった。傷が残らんといいね」
「は、はい……」
「五条さんに買われた姉ちゃんってアンタのことだったのかぁ」
どうやって金にする気なんだか。
ジロジロと値踏みするような視線が痛い。
前言撤回。
今の発言でこの人もヤクザだ。
居心地悪そうにしているに構わず、虎杖は一頻り眺め回すと視線を合わせてきた。