第14章 【五条&七海】死んだ方がマシだった【R18】
「さん」
午後5時。
駅前のタクシーロータリーに突っ立っていた女性は、名前を呼ばれあたりをきょろきょろと見回した。
「こっちだよ。早く乗って」
昨日とは違う車の後部座席から五条が顔を出し、を呼ぶ。
少しだけたじろいだの体が揺れたが、しかし「すみません」と一言五条に頭を下げ表情に出さずに車に近付いてくる。
肝が据わっているのか据わっていないのか、そこがまた五条の加虐心に火をつける。
滅茶苦茶にしたくなる。
五条が乗っている後部座席と、見知らぬ男が乗っている運転席、空いている助手席を見てやや逡巡したが、助手席のドアに手をかけた。
「、お前はこっち」
自分の乗る後部座席のドアを開けてやり、を招き入れる。
七海が何か言いたそうにしていたが、無視した。
「あの、すいません。お邪魔します」
「初めまして、七海です」
「です。よろしくお願いします」
こんな状況でさえ生真面目に挨拶をするに、七海が振り返り人の良さそうな笑みを浮かべている。
何が宜しくなんだと思いながら、五条の注意はへ向いた。
白のブラウスに鮮やかグリーンのテーパードパンツは体の線を隠すとは言え、それでもスタイルの良さが伺えた。
それに昨日とは違い部屋着ではなく仕事の服と言うことで、遥かに大人びて見える。