第14章 【五条&七海】死んだ方がマシだった【R18】
七海が五条の下に付くようになり、もう5年が経とうとしている。
五条は七海や、他の構成員にとって憧れだ。
冷徹なマシーンのような頭脳と、凶暴な獣のような二面性を併せ持つ男。
五条の仕事を見た時に感じるあの寒気は、他の人間といるときには味わえないだろう。
心の底から思う。
この男が敵でなくて良かった、と───。
まあ大丈夫なんでしょう。
七海は胸中で自己完結気味に思った。
どんな無理難題を突き付けられても、五条が自分にとってマイナスの結果になるような仕事をしたのを見たことはない。
「そうだ、七海───」
「はい」
一人物思いに耽っていた七海を我に返らせたのは、勿論五条だった。
「今日何時になるかは分かんないけど、を迎えに行く時付き合ってよ」
「分かりました」
そう答えたと同時に、助手席に放ってあった携帯電話が初期設定のままの音を立てる。
「私です。……分かりました。五条さん、斉藤の連中がこのビルの5階にいるそうです」
七海の報告を受け、五条の目がスッと開いた。
「行くか」
車のドアを開け、地面にゆるりと足を着く。
その手には、金属で出来た鉛玉を射出する装置が握られていた。