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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第14章 【五条&七海】死んだ方がマシだった【R18】






はぺこりとお辞儀をするとそそくさに部屋に戻り、鍵を開けて急いで中へと入った。
車のエンジンが遠のいていくのを聞いて、五条の車がここから離れたことを確認した瞬間、玄関の扉にもたれかかるようにズルズルと座り込んだ。
膝が笑っている。

何も解決はしていない。
だが無事に自宅に戻ってくることはできた。
それがこんなにも安堵出来るものなのかと、自分でも驚く程に脱力してしまいは何だか可笑しくて笑った。
だけどそれも一瞬のこと。

「明日、会社……」

辞表を出さないと殺される。
できるだけ自分の命を守るためには言う事を聞かなければいけない。
そうでないと弟がまた危険な目に……。

まだ笑ったままの足をなんとか奮い立たせた。
その時カバンの中に入れたままのスマホが音を立てて鳴った。
中を確認すると、そこには弟からの謝罪の電話とメッセージ。
そして両親からの心配の電話とメッセージが何件も何件も彼女のスマホに送られていた。

は、「大丈夫。何も心配しないで」とだけ打ち返した。
迷惑も心配もかけたくない。
理由は言えないけれど、もしかしたら弟から聞いてるかもしれないけど。
でも、私の事は気にしないで、心配しないで。
この話は、私一人でちゃんと終わらせるから。

スマホを握りしめて、はきゅっと唇を結んだ。




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