第13章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【0】
教室に入るなり、切島はぎょっと目を見開いた。
まさか、爆豪たちもいるとは思わなかったらしい。
ぐるりと彼らを見渡した切島は、先ほどまでの安心した表情からは一変、暗いものへと変貌した。
「なんかあったんか?」
「……爆豪」
何か言いたそうにするも口を開いては閉じてしまう切島。
いつもなら「早く言え!!」と怒る爆豪もこの時ばかりは急かすようなことは言わなかった。
「か、上鳴を、見なかったか?」
漸く口から出た言葉に、その場にいる全員背筋が凍った。
どのくらいの人数がこの得体の知れない空間に閉じ込められているのか不明な上、緑谷たちは友人の一人である上鳴の姿を見ていない。
何か危険な目に遭ってしまったのか、それともヴィランの手によって既に……。
そこまで考えて緑谷は首を大きく横に振った。
「じゃあテメェはさっきからアホ面を探し回ってたってのか」
「ああ。今日お前らが帰ってくるっていうからちょっとしたパーティでも開こうと思って買い出しに行ってたんだ。そしたら雨が降ってきて……。そしたらよ、急に視界が真っ白になって気が付いたら雄英にいてさ。でも、雰囲気違うじゃん。俺焦って上鳴を呼んだんだよ。そしたら上鳴が倒れてて、雷に打たれたショックだと思って助けを求めてそこら中探したんだ。でも誰もいねえし暗いし血がそこらじゅうにあるし怖くなって、上鳴がいる教室まで戻ったんだ。そしたら、いなくなってたんだ、上鳴のやつ。だから俺、探し回ってて、そしたら緑谷の声が聞こえるし相澤先生もいるし、もしかしたら上鳴もいるんじゃないかって……」
歯を食いしばりながら話す切島の声は悔しそうに震えている。
握った拳は少しだけ血が滲んでいた。