第13章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【0】
「とりあえず、ここでじっとしていても何も始まらないんで、食料を確保がてら探索してきます」
「そうですね。俺も行きます。一人だと何があるかわからないんで」
「……さっき一人で教室出た人が何言ってるんすか」
「それはそれです」
肩を竦めるホークスは呆れたような顔をした。
教室を出ようとした相澤は、扉にかけた手を止める。
微動だにしない相澤に声を掛けようとした緑谷だったが、微かに聞こえた音に彼もまた動きを止めた。
他の人も息を殺し指一本動かすことなく聞こえてくる音に耳を澄ます。
それはここから離れた場所から聞こえる。
何かを叫んでいるような声に、全員の心拍数が上がった。
しかし、爆豪だけは違った。
「……切島?」
ぽつりと零した名前に、緑谷も轟も相澤も爆豪を見つめた。
声の正体を探るように、一点を見つめ意識を集中させる。
微かに聞こえる声は少しずつこちらへと近づいてきているようで、はっきりと声が聞こえて初めて、彼らはその声がクラスメイトの一人、切島だと認識することができた。
「切島くん!!」
緑谷は思わず教室を開け、暗い廊下の先へ向かってさ友人の名を叫んだ。
「その声、緑谷か!?」
「そうだよ!!A組の教室にいるよ!!」
廊下を走る音が徐々に近づいてくる。
暗闇から見える赤い髪の毛はまさしく切島本人。
切島は緑谷と相澤の姿を視認すると、安心からか涙が溢れそうになった。
それを悟られまいと流れる汗を拭う振りをして目に溜まった涙も拭った。