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【雑多】be there【短編集】

第13章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【0】






なにか喋っていないと落ち着かなかったが、何をしゃべっていいのか分からない。
3人の呼吸音がだけがただこの異様な空間に木霊している。

「とりあえず、この中に入ってみる?」

そう言ったのは緑谷だった。
彼曰く、もしかしたら中に誰かいるかもしれない、もしかしたら動けない救助者がいるかもしれない、とのこと。
普通に考えればそんなことはあり得ない。
分かっている。
分かっているのに、頭では理解しているのに、意味もわからない不気味な場所にずっといるよりは幾分かマシに思えた。
何より、この不気味さを紛らわすのにはちょうどいい言い訳にもなる。

緑谷、爆豪、轟は、血生臭い臭いが充満する建物の中へと足を踏み入れた。
瞬間、大きな音を立てて勢いよく玄関の扉が閉まった。
驚いて入ってきた場所を振り返ると、先ほどまで引き戸があったはずなのに、今は永遠と長い廊下が続いている。
上に取り付けられたプレートには1‐A、1‐Bと見慣れた数字とアルファベット。
教室であろう扉の模様も見覚えがある。
見渡せば、壁や天井、廊下の至る所に赤黒いシミが滲んでいる。
このシミの正体がなんなのか、言わずとももうわかっていた。

「……何が、起きてんだ」

轟の声は明らかに動揺を隠せていない。
彼らの目の前に広がっていたのは、見るも無惨に変わり果てた雄英高校の姿だったのだ。



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