第13章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【0】
「だ、大丈夫か、爆豪……」
「俺を心配してんじゃねぇ。平気だ、クソが」
そう口にするも、爆豪の心臓は大きく脈を打ち続ける。
爆豪を心配する轟もまた、普段の彼からは想像もつかないほど大きく目を見開き、いつものポーカーフェイスを崩していた。
「爆豪、悪いことは言わねえ。雨が弱まるまで少し雨宿りをしよう」
「指図してんじゃねェ」
轟を睨みつける爆豪の姿に、いつもの雰囲気を感じた緑谷は少しだけ安堵したが、後ろから何かが開くような音が聞こえ、振り返った。
「かっちゃん、轟くん」
名前を呼ばれた2人は、緑谷の方を向き、そして押し黙った。
緑谷たちは誰も住んでいない廃屋で雨宿りをしていた。
そして、玄関の引き戸は当たり前だが、閉まっていた。
だが、今は、玄関の引き戸は全開で、その奥へと続く廊下からは、錆びた鉄のようなむせ返るような生臭い匂いが充満している。
思わず口元を塞いでしまうほど。
「なに、これ……」
理解が追い付くはずもなく、緑谷は小さく呟いた。
不思議な程静かで、しばらくの間静寂が3人を包み込むが、とある違和感に爆豪が気付く。
「おい、静か過ぎねえか。……つうか、雨、いつ止んだ?」
その言葉に緑谷と轟は辺りをハッとした。
前が見えないほどの豪雨だったはずなのに、今は一粒の雨さえ降っていない。
それどころか、水溜まりも濡れた後もどこにもない。