第12章 【石神千空】プラネタリウム
長い沈黙が闇夜に消える。
風に揺られる草木の音が耳の奥をくすぐる。
何時までもいじけてなんていられない。
あの時決めたじゃん、割りきって目の前の楽しいものを見つけるって。
石神くんと過ごした時間は確かに存在したんだから、それは嘘じゃないんだから。
今生の別れって訳でもないんだし。
そうだよ、前向きに考えなくちゃ。
自分に言い聞かせるように心の中で呟き、前を向くと言う意味でぐっと顔をあげた。
そして隣に座る石神くんに気が付いて、声にならない悲鳴が私の口から飛び出しし、後ろに仰け反った。
び、びっくりした……。
いつの間に私の隣に座っていたんだ。
というか、ち、近い……。
体温がすぐそばに感じる。
なんで今まで気が付かなかったんだ、私のバカバカ。
驚きすぎてまだ胸の鼓動は治まっていないけど、「ご、ごめん……びっくりした」とだけ声に出すことができた。
そんな私を彼はじっと見つめる。
な、なんだろう。
そんなに見つめないで欲しい。
ドキドキしちゃう、別の意味で現在進行形でドキドキしてるけど。