第12章 【石神千空】プラネタリウム
「なに?」
その度に緊張しているのを悟られないように平常心を保っている。
石神くんは何かを考えるように瞬きを繰り返す。
頭を掻いて眉間に皺を寄せ「あー……」と言いづらそうに声を漏らした。
そんなに言いづらいことを私に言うつもりなのか?
別の意味で緊張してきた。
どうしよう、杠ちゃん。
怖いよ、助けて。
まさか私の好意に気づいたとか?
今から私フラれるの?
告白もしていないのに?
なにそれ、死ぬ。
いやもしかしたら別のことかもしれない。
だって石神くん恋愛には疎そうだもん。
私の好意になんて1ミリも気づいてないよ、絶対。
だったらなんだろう。
まさか、船の乗員から外れる……とか?
宝島には杠ちゃんの補佐として乗ったけど、お役御免とか?
たしかに宝島では私はなんの役にも立ちませんでしたけど……。
なにそれ、死ぬ。
乗員でなくなるなら、いつ戻ってくるかわからない彼らを待ち続けなければいけないっていこと?
それは、寂しいな……。
昔と違って、会おうと思ってもすぐに会えるわけじゃないし。
連絡だってそう簡単に取れるわけじゃない。
さびしい、な。
胸の奥が締め付けられる。
フラれるにせよ、一緒に航海できないにせよ、私が今感じる気持ちは似たようなものだ。
私は膝を抱え、今にも泣きだしそうな表情を隠すために、自分の腕の中に顔を沈めた。