第12章 【石神千空】プラネタリウム
「い、しがみくん……。どうしたの?」
まさか彼がここに来るなんて思ってなかった。
だっていつもだったら研究室に籠って龍水くんや他の人達と会議したり研究したりしているのに。
驚く私をよそに石神くんは腰に手を当てて、目を細めて夜空を見上げる。
誰かを焦がれるような横顔に私の胸はぎゅうと締め付けられる。
きっと百夜飛行士のことを考えているんだ。
百夜飛行士は、科学文明のキーであるものをたくさん残してくれた。
それがあったから、今がある。
夜空を見上げる石神くんにつられ、私もまた上を見上げた。
静かでゆっくりとした時間が流れる。
まるであの日みたい。
あの日も今みたいに後ろから声をかけられて、驚いたっけ。
彼は覚えているかな、覚えているか。
そうでなければ「一人遊びしないのか」なんて聞かないもんね。
覚えてて、くれたんだ。
その事実に嬉しさがこみあげて、口が綻ぶ。
「」
ふいに名前を呼ばれて心臓が大きく跳ねる。
3700年前には呼ばれなかったのに、今の時代では呼ばれるようになって、何度も何度も呼ばれているのにいまだに慣れなずこうして心臓がおもしろいほど脈打つ。