第12章 【石神千空】プラネタリウム
「なんてこともあったな~」
満天の星空が散らばる夜空を見上げながら私は笑った。
少しだけ冷たい風が身体包みこむ今は3700年後の世界。
高校に進学した数か月後、人類は謎の光線を受けて石化した。
目が覚めると見慣れた景色はどこにもなく、ただ緑色の景色ばかりが広がっていた。
そんな何もない世界だった。
はずだった。
でも、そんな世界を変えたのは一人の科学少年。
気づけば、ストーンワールドは人口が増え、衣食住が充実し、科学や医学なども現代文明が少しずつ復活している。
やっぱり石神くんはただものじゃない。
だからこそ痛感する。
どこまでも遠い存在だと。
頭上ではキラキラと儚くも強く星が頭上を照らしている。
強く手を伸ばして見ても届くはずがない。
驚くほど容易く、簡単に、あっけなく、触れてしまったあの狭い宇宙とは違う。
私の夢でしかなかった世界はやはり夢でしかなかった。
「今日は一人遊びしねえのか?」
その時だった。
後ろから聞こえてくる声に肩が大きく跳ねあがる。
振り向くとそこには、どこか楽しそうに笑う石神くんの姿が。