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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第12章 【石神千空】プラネタリウム







「石神くんはさ、怖くなったりしない?」

私の質問に石神くんは眉間に皺を寄せて私を見つめた。
突拍子もない事を聞いた私が悪い。
こんな顔されてもおかしくない。
私はしどろもどろになりながら、初めてプラネタリウムで宇宙を見た時のことを彼に話した。

宇宙の広さ、星の持つ時間、知らないことを知る面白さ。
同時に、襲ってきた恐怖。
宇宙はとても広く、とても大きく、膨大で、それじゃあ私達人間はちっぽけな存在で、人間が、私が、在る意味。
怖さと悲しさと虚しさを、あの時の私は感じて、それは今もあまり変わっていない。

「宇宙から地球を見ても、人の姿なんて見えないじゃん。でも、ちゃんと生きて生活しててそれぞれの人生があるわけだけど、でも、空から、宇宙から見たら、そんな風には見えないわけでしょ。なんだかそれって怖いなって」

思春期特有の悩みだと言われてしまえばそうなのだろう。
それでも、私が私で存在する意味のちっぽけさを感じずにはいられない。
勝手に悩みを吐き出してしまった。
石神くんだっていい迷惑だろう、謝らなきゃ。
そう思って口を開いた時だった。

「意味なんて、ねえだろ」
「え?」
「なくてもいいだろ、そんなもんに」

まさか回答を頂けるとは思っていなかった。
目を丸くして彼を見つめると、彼もまた私を見つめ返してくる。
真っ赤な綺麗な瞳が私を映していると思うと、顔が赤くなる。



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