第12章 【石神千空】プラネタリウム
「規模のでけえものを前にすると、全部がちっぽけに感じるのは当たり前だろ。そこに意味を考えたって意義を探したって時間の無駄だ。だったら無意味だって割り切った方がいい。それよりも目の前で楽しめるもん見つけて、楽しんだ方が有意義だしくだらねえ悩みもそれこそどうでもよくなんだろ」
「ベストアンサーすぎる……。石神くん本当に私と同い年?」
「1年間同じクラスだっただろうが。寝ぼけてんのか」
「いや、考え方が……」
あまりにも大人すぎる。
考えもしなかった考えに目から鱗だ。
「楽しめるもんを見つける、か……。石神くんにとっては科学がそう?」
「まあな。知らねえことを知れるってのは一番楽しいことだ」
「そうかも。私も、天体を知った時はすごく楽しかったな。これからもきっとそういう衝撃とたくさん出会えるのかな」
「さあな」
これから先、知らない人と出会うかもしれない。
顔も名前も知らないけど、天体一つ一つに名前を付けた人がいる。
知らないことを知るというのは、今まで自分と関係がなかったことがこれからちょっと知ってるものになるということ。
なんとなくの世界が少しだけ広がっていく。
私が、彼に恋をしているみたいに。
心臓は小さくだけどはっきり脈打って、ドキドキと、高鳴る。