第12章 【石神千空】プラネタリウム
何一つ行動に移せないまま、とうとう日付は超えてしまった。
隣に座る石神くんの顔を横目で見ることしかできなかった。
脳内の妄想ではもっとスマートにプレゼントを渡せていたのに。
実際はそんなことなくて、あ、やばい、泣きそう。
惨めさで涙が溢れそうになるけど、唇を噛みしめてぐっとこらえる。
ここで泣いたら嫌われてしまう。
それだけは嫌だ。
静かな。
静かな時間だけがただ流れた。
私達の間に会話はない。
すぐ触れられる距離にいるというのに、虚しさだけが募るのはなんでだろう。
どれくらいの時間が経ったのか。
睡魔に襲われ、うとうとと意識が混濁し始めた時だった。
隣から「あ」と小さな声が聞こえた。
ぼんやりとする視界の中、石神くんの横顔をみると彼は少しだけ目を見開いて、口角をあげていた。
彼の瞳はきらきらと輝いて見えて、彼の視線の先へと私も目を向ける。
そして、私も彼と同様に目を見開いた。