第12章 【石神千空】プラネタリウム
何も言わず立ちすくんでいるのに気まずさを覚えたのか石神くんは「あ゙~、ガキの頃は俺も同じこと思ったな」と気を遣わせてしまった。
「どこにいても何をしても月がついてくるのが不思議で、走ったりフェイントしたりしてたわ」
そういう石神くんは少し恥ずかしそうな表情でそう言った。
石神くんが自分の小さい頃の話をしてくれた!!
石神くんにもそんな時があったんだ、意外!!
なんてかわいいエピソードなんだろう。
もっと小さい頃の話を聞きたいし、知りたいなぁ。
「まぁでも、てめーみたいなことはしたことないけどな」
くくっと喉奥で笑う石神くん。
恥ずかしいけど、でも私の行動で笑ってくれたと思うと結果的にはよかったのかもしれない。
さっきまで恥ずかしさで死にたいと思っていたのに、今は全然そんなこと思わない。
ていうか、石神くんが隣にいて同じ空を見上げてるっていうシチュエーションで別の意味で死ねる。
意識しないようにしてるのに意識しちゃう。
もう少しで日付が変わる。
石神くんの誕生日がくる。
プレゼントを渡さなくちゃ。
でも、どんなふうに渡せばいいんだろう。
どうやって渡せば不自然じゃない?
どうすれば石神くんは貰ってくれる?
わかんない、どうしたらいい?