第12章 【石神千空】プラネタリウム
1月2日、私は大きな荷物と望遠鏡を持って学校の裏山へと向かった。
正直、行くだけで体力が奪われる。
荷物の中にはテント、寝袋、毛布、お弁当、ホッカイロなどのもので溢れかえり、望遠鏡は純粋にただただ重い。
大切なフィギュアとミニチュア、そしてプレゼントは壊れないように違うカバンに入れて大事に保管している。
息を切らし、片道30分以上かかる道のりを自転車を漕いで向かった。
「さむ~~~っ!!」
いくら防寒しているとは言え、風を切って漕いでいるわけだから寒くないわけがない。
指先がかじかんでいるけど、なんとか力を篭めてハンドルを握る。
息はずっと白いまま宙に消えていく。
鼻を啜りながら私はなんとか裏山へと着いた。
これを4日までやるのか。
考えるだけで億劫になってしまう気持ちを首を振って投げ飛ばす。
裏山の一番高い場所にテントを張って、望遠鏡を設置し、静かに冬の空を眺める。
満天の星空、とはいかないが、それでも散らばるそれらに目を輝かせる。
プラネタリウムとは違う迫力、本物の宇宙を目の前に先ほどまでの疲れはどこかに行ってしまった。
冬は空気が澄んでいるのあって月も星も綺麗に見える。
テントに寝転んでゆっくりとした静かな時間を過ごす。
そうすると、まるで自分が宇宙と一つになったような気がして、宇宙の一部だと思えて、この瞬間が一番怖くて一番好き。