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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第12章 【石神千空】プラネタリウム






「あ、ちゃんって星座好きだったよね」
「うん。星座も宇宙も好き。今もプラネタリウムに通ってる」
「千空くんが言ってたんだけど、流星群が今の時期見れるとかなんとか」
「しぶんぎ座流星群のこと?そうだね、時期的には今だね」
「学校の裏山で観測するって言ってたよ」
「………え、」

突っ伏していた顔をあげると、彼女は「ロマンチックですな」と笑った。
流星群が流れる空の下、千空くんにプレゼントを渡す……。
想像しただけでなんて美しい光景なんだ。
顔に熱に集まって、私は再びテーブルに突っ伏した。

しぶんぎ座流星群は、8月のペルセ群、12月のふたご群と並んで、「3大流星群」と呼ばれているが、他の流星群と違い当たり外れが大きい流星群でもある。
もともとピーク時の出現数の変動が大きいことに加えて、ピークが鋭い。そのため、観測可能な時間にピークを迎えるかによって、出現数は大きく左右される。
だから必ずしも「見れる」とは限らない。
それに、しぶんぎ群の流星の特徴は、やや速い、やや明るい、とやや控えめな上に、明け方が観測に適しているとも言われているため、なかなか観測しづらいというのもある。
けれど、1年の最初を飾る流星群だし何より、極大日は1月4日だというのだから、杠ちゃんの言う通りロマンチック以外の言葉は浮かばない。

「頑張る!!」
「応援してるよ」

怖いけど、恥ずかしいけど、私はその日、石神くんにプレゼントを渡すと決めた。
告白はしない。
その勇気は今の私にはない、断言できる。



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