第12章 【石神千空】プラネタリウム
そして、クリスマス会当日、放課後。
朝から私はずっと緊張していた。
綺麗に包装してもらったボールペンは、先生が持っている箱の中に回収されている。
もう一つ、包装されたものは静かに私のカバンの中で眠っている。
いつ、渡そう。
いつ、渡せるだろう。
いつ、渡してもいいのだろう。
そんな事ばかりが脳裏を過る。
石神くんの後姿を見るだけで心臓が破裂してしまいそう。
そう言えば、杠ちゃんは大木くんと石神くんにプレゼントを渡したのだろうか。
昼休みに聞けばよかった。
自分のことばかりで全然余裕がなかった。
ばかばか、私のばか。
ちらりと杠ちゃんを見ると、なぜか杠ちゃんは私を見ていて、ばっちりと目が合う。
心の中を読まれたんじゃないかと思った、タイミングが良すぎて。
杠ちゃんは口だけ動かして「渡せた?」と聞いてきたから私は小さく首を振った。
そういう杠ちゃんは?と聞くと彼女は「渡したよ」とまた口だけ動かして教えてくれた。
渡したんだ、杠ちゃん。
何を渡したんだろう。
手芸部だから、彼らのために何かを編んだのかな。
マフラーとか手袋とかかな。
どっちにしろ、渡せたの凄いな。
幼馴染ってすごいな。
いいな、幼馴染。
そういうの変に気にしないでいいんだから。
いいな、いいな、杠ちゃん。
羨ましいよ、杠ちゃん。
憧憬と羨望が渦巻く。
そんなこと思ったって、私は彼女になれないんだから仕方のないことなのに。
どうしてこんなにない物ねだりしちゃうんだろう。