第12章 【石神千空】プラネタリウム
「というわけらしいんだけど、杠ちゃんは何にするか決めた?」
放課後、同じクラスの杠ちゃんと一緒にショッピングに来ていた。
誰が貰っても嬉しい物、なんてハードルが高くないかな。
もし男子に渡ったとして、それを茶化す人は絶対いると思うし、女子は女子で気になる人に渡って欲しいとも思っているだろうし。
「無難にクッキーにしようかなって思ってるよ」
「意外。手芸で何か作るかと思った」
「そう思ったんだけど、ほら、男子がそれ貰っても嬉しいかどうかってわからないじゃない?」
「そうだよね、そこだよね」
どうやら彼女も同じ気持ちだったらしい。
そのことに安心を覚え、ふと疑問に思った事を口にした。
「大木くんや石神くんには個人でプレゼント渡すの?」
杠ちゃんのことだから仲のいい二人には何か渡すものだと思った。
その考えは正しかったようで、「まだ決めてないけど、そのつもりだよ」と笑った。
「二人とも喜ぶだろうね。特に大木くんは」
「そ、うかなぁ……?」
少し頬を赤らめる杠ちゃん。
これで両片想いだというのだからなんともじれったい。
「そういうちゃんは?」
「なにが?」
「千空くんになにかあげたりしないの?」
ぴしりと、私の動きが止まる。
なんで、という疑問を口に出す事はできなかった。
杠ちゃんの瞳が全てを見透かしていたから。
誰にも吐露したことない淡い思いを知られてしまった恥ずかしさと、くすぐったい感情が一気に溢れ出し顔に熱が集まるのが分かった。