第11章 【五条悟】死んだ方がマシだった【R18】
床に蹲るの頭を大きな手が鷲掴み、顔を上げさせた。
悼みに歪む顔からはいろんな液体が溢れ出している。
「オマエさ、内臓売り飛ばすなんて簡単に言わないほうがいいと思うよ?この世界は厳しいんだからさ。……地獄、見たいの?」
ちゃん。
五条が唇の端を歪め残忍に笑い、掴んでいた頭を床に放った。
べちゃり、と音を立てて髪の毛や額に自分が吐いた吐瀉物が付いた。
だけど拭うことなんてできずに、はただ溢れそうになる涙を必死に堪えた。
腹部を殴られたダメージよりも、この現状の方がダメージが大きい。
「、後悔してる?」
再びソファーに戻り、五条がに嘲笑混じりに言う。
は、顔を上げて五条をまっすぐに見据えた。
「私が後悔してるのは、弟ともっと早くに向き合ってやれなかったことです。この状況に後悔なんかしてません。……五条さんには感謝しています。私の我が儘を通して貰って」
本当にありがとうございます。
嘘偽りは一切無いその表情、言葉。
今、謂われのない暴力を振るわれたばかりの相手を、こんなに真っ直ぐな目で見られるこの女、は。
イカレてやがる。
ゾクリ、背筋を覚えのある感覚が走る。
どうしてやろうか、この綺麗な目をした女を。
突き落としたい、二度とそんな目ができなくなるような、この世界の汚泥に塗れた闇の底を見せてやりたい。
ゾク、ゾクゾク。
ゾワゾワゾワ。
アドレナリンが分泌され、血液に乗って体中に巡る、血が沸く。
ドクンドクン、と聞こえる、自分の心臓の音が、うるさい。
先ずは、この興奮を鎮めたい。
否、もっと気持ち良くなりたい。