第18章 【呪術廻戦】DOOR【2】
「行って来いよ、恵。ちゃんと卒業するんだぞ」
「今回ばかりは仕方ねえよ。俺、待ってるからな」
「つまらんプレイだけはしてくれるなよ、伏黒」
「初めてだから緊張すると思うけど気楽に、ね」
五条、虎杖、東堂、夏油の余計な一言が伏黒のイライラを増長させる。
どうしたらこの4人をぶっ飛ばせるか考えている伏黒の耳に、とんでもない発言が飛び込んできた。
「でも、恵は童貞なんでしょ。そうしたら企画を変えなきゃね」
「企画を変える?」
「童貞君を卒業するなら、やっぱりソープでしょ」
夏油の発言に伏黒は更に行き場のない怒りを己の内に溜め込み、他の男どもは顔を真っ赤にさせていた。
「トルコ、か……」
「いつの時代だよ、それ」
東堂のボケに虎杖の的確なツッコミが炸裂し、視線は五条へと向けられる。
この企画の発端は五条だ。
男の返答次第で、今後の企画の行く末が決まる。
腕を組んで空を仰ぐ五条は、右手をサングラスのブリッジに持って行き、ゆっくりと外した。
もったいぶった動きに、3人の動悸は少しばかり早い。
青い空と同じ色をしたその二つの目は、4人を姿を映し、薄い唇は弧を描く。
「面白そうだ」
総隊長である五条の人一言に、3人はきゃっきゃっと笑いながら飛び跳ねて喜んでいる。
が、やはり問題は伏黒であった。
「俺は嫌だ。初めてがそんなところだなんて。俺はちゃんとしたところで好きな奴と普通にしたい」
「つまらん。実につまらん男だな、伏黒恵。童貞を大事に持っていてもいい事なんて一つもないぞ」
「それにはじめてで緊張してしまって、勃たないってなったら女性に失礼だよ」
さも、自分たちは経験者ですみたいな雰囲気を出す彼らにとうとう伏黒がキレた。