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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第11章 【五条悟】死んだ方がマシだった【R18】







「姉ちゃん……!!」

ソファーに座らせられていた弟は、扉を明け入ってきた姉を見て思わず叫んでいた。
家で休んでいたであろう姉の部屋着と少し乱れた髪を見て、恐怖にガタガタと震えていた小さな体が跳ねる。

「あんたねぇ……っ!!」

弟の方に駆け寄ろうとしたは、しかしすぐに表情を強ばらせ視線を弟の背後に移した。
そこに誰が立っているか、弟は知っている。
自分の置かれた状況を思い出した途端、再び涙が溢れた。

「……。で?律儀に姉ちゃんが来たみたいだけど、この人がお金を払ってくれるのかな……?」

この重たい空気とは真逆の明るい声。
だけど威圧感は電話で聞いたそれより大きい。
サングラスをかけ、黒いスーツに身を包んだ男がに話しかけた。
真っ白な髪の毛がエアコンの風に乗ってフワフワと揺らいでいる。
上背のある体に、きちっと纏った細身のスーツ。

一見、まともな大人の雰囲気であるが、サングラスの奥の青い瞳の冷たさが、堅気では無いことを明白に物語っていた。
男の後ろに並んでいる男達はもっとあからさまだ。
着崩した緩いスーツ、太い腕、唇の横にある傷、鋭く細い目でこちらを見ている男、額に傷があり、長い髪の毛をお団子にまとめた男。

の額から冷たい汗が噴き出した。

―――ヤクザ、だ。



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