第11章 【五条悟】死んだ方がマシだった【R18】
○○駅って、ここからだと1時間弱かかるじゃん……。
電車の窓の前に立ち、早く早くと気ばかりが焦ってしまう。
不安の波が押し寄せるたびに、彼女の体温を奪っていく感覚がして目の前が眩みそうになる。
漸く駅に着いたは急いで改札を出て走り出す。
スマートフォンで言われた店の場所を検索し、迷いながらもグーグルマップに従ってただただがむしゃらに店を目指した。
電車に揺られている間、はずっと不安を抱きながらも苛立ちも覚えていた。
店を検索した瞬間に、なぜ呼び出されたのかを理解してしまったから。
弟はキャバクラに出入りをしていた。
未成年、という理由だけで呼び出されたならまだましだろう。
だが、嫌な予感と言うものは当たるものだ。
案の定、状況は最悪だった。
もっというならが思っていた以上に最悪だった。
店に入り、ボーイの一人に弟の名前を言うと先ほどまでキラキラと輝いていた笑顔が消え失せ、奥の部屋、控室のような場所へと通された。
扉を開け、中に入るなりその空気に身体を強張らせる。
10畳程のスペース。
中心に置かれた応接セット、ソファーに弟が顔をぐしゃぐしゃにして座っていた。
向かいのイスにはスーツを着た中年の男、そして。
弟の後ろにもスーツを着た男が、4人。