第10章 【狗巻棘】舞台、閉幕。
棘は知らない。
棘がくれる誕生日プレゼントは全部恵とかぶっている。
ぬいぐるみ、ネックレス、ピアス……。
デザインや色は違うけれど、同じなのだ。
それを大切にしまっている。
何でこんなにも被るんだろうと疑問に思った。
けどすぐにその答えはわかった。
一つ下の後輩である野薔薇が、恵と棘に同じ雑貨屋を紹介していたのを耳にした。
野薔薇を見ると、まっすぐに私を見つめて……いや、睨んでいた。
終止符を打てと言わんばかりに。
隠していたのに。
知られないために。
私の努力を水の泡にしたんだ、野薔薇は。
知られないために努力したのに。
知られてしまった。
恵とかぶっている誕生日プレゼント。
息ができなくなった。
だけど、奥歯を噛みしめて棘を追いかけた。