第17章 【石神千空】Trick or treat.
呆れたため息を吐きつつも、ガキどもがコスプレしている姿を見るのは嫌いじゃないようでスイカを見る瞳は優しい。
「"Trick or treat"って言うのは"お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ"っていう意味だよ」
「恐喝じゃねえか!!」
「それがはろうぃんでは許されちゃうんだよー!!羽京が言ってたんだよ!!」
「そういうこと」
にんまりと笑う。
お菓子をねだりに来たのかと思ったが、どうやら違うらしい。
「あっちでフランソワお手製のお菓子パーティーやってるから少し休憩したら?悪戯されたくないでしょ?」
どうやら、本来の目的はそれだったようだ。
時計がないからどのくらい作業していたかはわからないが、意識すると疲労が身体に蓄積されているのがわかる。
クロムはフランソワという単語を聞いた途端、目を輝かせ研究所を飛び出した。
それに釣られるようにスイカとカセキはクロムを追いかける。
「千空も行こう。休憩も大事だよ」
「そうだな、少し休むか」
大きく伸びをするとあちこちから骨の鳴る音が聞こえた。
その時、俺の目の前にある物が映った。
後で食べようと思ってそのままにしていたそれは、少し硬くなっているが食べられないほどではない。
「」
「なに?」
研究所を後にしようとするに声をかける。
そして彼女の手にそれを渡した。