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【雑多】be there【短編集】

第17章 【石神千空】Trick or treat.






「とりっく、おあ、とりーと!!なんだよー!!」

よく晴れたとある日の昼下がり。
クロムとカセキと一緒に帆船造りの道具を作っていると、スイカが意気揚々と入って来た。
聞きなれない言葉にカセキは作業している手を止め顔をあげる。
クロムもまた「とり……?鳥がどうかしたのか?」と首を傾げている。

「羽京が教えてくれたんだよ。今日はとろっく……とりっく、おあ、とりーとの日なんだよ!!」

言いなれていないのもあるんだろう。
たどたどしい言い方に自然と笑みが零れる。
そうか、今日はハロウィンか。
モノづくりに集中していて忘れていた。
よく見ればスイカの恰好はいつもの服ではなく、白い布をポンチョのように着ている。
幽霊のコスプレでもしているんだろう。

「だから、そのとり、おあ、とりってなんだよ」
「海外のイベントだ。ハロウィンつってな、魔女や幽霊なんかの恰好してお菓子をもらう風習のことだ」
「ん?でもよ、ここは石神村で海外?じゃねえだろ?」
「旧時代では日本でも行われてたんだよ。といっても、いい大人たちが騒いで暴れる承認欲求と自己顕示欲のイベントになりつつあったけどね」

スイカの後ろからがそう言って入って来た。
言い方に棘があるのはがハロウィンと言う行事を好きではないからだろうな。
まぁ、気持ちはわからないくもない。
頭の中に流れる映像は、ハロウィンイベントで暴れまくる派手な格好をした大人たちの姿。




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