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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第10章 【狗巻棘】舞台、閉幕。







箱から出てきたのは真っ赤なガラス玉が埋め込まれた真っ白な箱。

「オルゴール……?」
「聴いてみてください」

そう言いながら、恵は私の手の中にあるオルゴールを取ると、ゼンマイを巻いた。

綺麗な曲を奏でるオルゴールに胸が躍る。
優しく柔らかい音色。

「恵ありがとう!!すごい嬉しい」
「このガラス玉見たらさんのこと思い出して」

恵も嬉しそうに笑う。
こんなおしゃれなモノをもらえるなんて思ってなかったからすごく嬉しくて……。

その時。

かしゃん。

何かが落ちる音がした。
人の声とは違う音。
その音に振り向けば、教室の外で中の様子を見ていた棘の姿を見つけた。
揺れる棘の瞳と私の瞳がぶつかると、彼は逃げ出した。
何かを手に持って。

「棘!!」

逃げる棘を追いかけようと教室の扉を開けると、足元に何か落ちているのに気が付いた。
拾って確かめてみるとそれは説明書だった。
真っ赤なガラス玉が埋め込まれた真っ白な箱のオルゴール。




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