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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第10章 【狗巻棘】舞台、閉幕。







「……どういうドラマ?」

物まねが一通り終わった後、恵がぼそりと呟いた。
誰もが思ったであろう感想を述べてくれてありがとう。
今、誰かが何かを言ってくれないと、私が崩れてしまう。
私の理想とする私を演じる事が出来なくなってしまう。

教壇では、便乗した悠仁が何か物まねをしてゲラゲラと悟が笑っている。
そのバカさが今はすごい羨ましい。
馬鹿でいてくれてありがとう。

棘の本当が分かったけど、でもそれでもやっぱり私は彼の気持ちには応えられない。
それが彼を深く傷つけたとしても。

一通り物まねをして満足したのか、ようやく私の誕生日会が始まった。
真希と野薔薇と悠仁で作った手作りのケーキに、私も悟も目を輝かせる。
形はお世辞にもいいとは言えないけれど、私の為に作ってくれたと言うのが嬉しい。

「五条先生に作ったんじゃないんだかんな」
「分かってるよ~」

悠仁に注意され、少ししょんぼりする悟。
子供に怒られる大人ってどうなんだ。
クスクスと笑いながら、パンダがケーキを切り分けてくれた。
お皿に乗った一切れのケーキとチョコのネームプレート。
ああ、おいしそう。
早く食べたい。




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