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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第3章 【爆豪勝己】盲目をつきやぶれ






曖昧な返事をした彼は私の前から去ろうとする。
金色の髪の毛の先が、小さく揺れる。
これからエンデヴァーさんと一緒にパトロールに行くであろう彼に意地の悪い質問をぶつけてしまった。

「拾ったの?」

返答を待つ。
他のヒーローの談笑がやけに大きく聞こえた。
どのくらいの時間沈黙が続いただろう。
私はデスクの一番下の引き出しを開けた。
深紅のブランケットは3日前まではここに鎮座していたが、当然今はここにない。
それを入れていた袋が綺麗に折りたたまれ一番奥にあるだけだ。

「窓口にも持って行かずに君が自ら持ち主を探している理由は?そういうことに時間を割くような人間でもないでしょう。そんな暇があったら自主練でもするような君が」

バクゴーは眉間に皺を寄せながら視線を彷徨わせている。
それをいいことに私は彼の瞳をじっと眺めた。
炎のような赤い瞳は宝石のようにぬめっている。
バクゴーはブランケットの先を手繰り寄せると二つに折り、それをまた二つに折り、小さく綺麗にたたんで抱え直した。
几帳面だ。



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