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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第9章 【狗巻棘】舞台、開幕






一通り物まねをして満足したのか、ようやくの誕生日会が始まった。
真希と野薔薇と悠仁で作った手作りのケーキに、と悟が目を輝かせている。

「五条先生に作ったんじゃないんだかんな」
「分かってるよ~」

悠仁に注意され、少ししょんぼりする悟。
子供に怒られる大人ってどうなんだ。
なんて思っていたら、俺はあることに気が付いた。
彼女の誕生日プレゼント部屋に置いてきている。

「しゃけ、ツナマヨ。高菜」
「ああ、取りに行けよ。先に渡しててもいいか?」
「しゃけ」

真希に部屋に戻ってプレゼントを取りに行くことを伝え、一度教室をでて、急いでプレゼントを取りに行く。

夜蛾学長が見たら怒られるだろうなと思ったけど、俺は普段は走らない廊下を全力で走る。
早く早く、と急かす俺の鼓動。
早く渡して、喜ぶ顔が見たい。
あの真っ赤な唇が弧を描く姿を。

部屋から教室へ。
手ぶらからプレゼントを持って。
再び戻ってきた。

そしてひどく後悔した。



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