第9章 【狗巻棘】舞台、開幕
そして誕生日当日。
俺達の教室でパーティーを開くと言っていた。
任務はないと言ったが、朝から任務が入ってしまい急いでそれを片付け、早歩きで教室へと向かった。
教室は、すでに賑やかな声で溢れていた。
扉を開こうとすれば少しだけ自分に影がかかった。
「狗巻先輩、お疲れまです」
「しゃけ~」
恵もちょうどやってきた。
どうやら恵も任務だったらしい。
急いで片付けてきたあたり、俺と同じだ。
音を立てて扉を開けば、一斉にみんなの目がこちらへ向く。
真希にパンダ、悠仁に、野薔薇、悟に、そして。
「もぉ~遅いよ、二人とも」
悟が腰をくねらせながら、俺達二人の肩を掴み教室の中へと引きずり込む。
ちらりと恵を見れば、これ以上ないくらい目が死んでいた。
思わず笑いそうになったのをこらえた。
「やっと来たな。お前らを待ってたんだよ」
「高菜」
「昨日見たドラマの物まねだってよ」
本日の主役に何をやらせているのかを聞いたら、パンダがそう答えた。
昨日のドラマ?
ああ、が最近ハマっているドラマか。
仕切り直し、とでも言わんばかりに彼女は咳ばらいを一つすると、教壇の上に立った。