第8章 【夏油傑】ひとでなしの恋【R18】
【Ending2】
キスをしても、激しいセックスをしても、昔のように幸福で胸が甘く痛むことはないと思っていたのに。
原始的な反応が身体のあちこちに勝手に現れるだけだと思ってたのに。
目の前の男に、すべてを委ね善がってしまった。
「、こっちを見て、」
まるで幼い子供に言い聞かせるようなそんな声だった。
夏油はの頬を掌で包み込むと、下から彼女の顔を覗き込む。
赤く濡れそぼった唇に軽くキスをしリップ音を立てる。
嫌がる素振りを見せない彼女に男は再びキスをした。
怖かった。
彼女をこちら側へ連れて行くことが。
自分の決めた道を間違いだとは思わなかったけど、彼女を巻き込んではいけないと思った。
だから何も言わなかった。
落ちこんだ彼女を支えるのは親友だろうと思っていたし、彼等がそういう関係になったとしても恨みも妬みも嫉みもなかっただろう。
だが、予想しなかった事態が起きた。
まさか彼女が呪術師をやめて一般企業に就職し、あまつさえ得体の知れない男のものになっていようとは夏油は思いもしなかった。
こんなことになるなら、初めから手放さなかったのに。