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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第8章 【夏油傑】ひとでなしの恋【R18】






怖かった。
彼女をこちら側へ連れて行くことが。
自分の決めた道を間違いだとは思わなかったけど、彼女を巻き込んではいけないと思った。
だから何も言わなかった。
落ちこんだ彼女を支えるのは親友だろうと思っていたし、彼等がそういう関係になったとしても恨みも妬みも嫉みもなかっただろう。
だが、予想しなかった事態が起きた。
まさか彼女が呪術師をやめて一般企業に就職し、あまつさえ得体の知れない男のものになっていようとは夏油は思いもしなかった。

こんなことになるなら、初めから手放さなかったのに。

悔いても悔いきれない後悔が夏油を襲った。
だから今度が間違えない。

「、私は今でも君の事が好きだよ。愛している」

唇を離し、彼女にだけ聞こえる声で夏油は愛を紡いでいく。

「遅くなってしまったが、私と一緒に来てくれないか?」

ずっとずっと待ち望んでいいた言葉。
は大粒の涙を流した。
カレンダーの、赤く囲んである日付の下の文字が、彼女の瞳に飛び込んでくる。
3文字の単語が胸に重くのしかかったが、それは一瞬のこと。
先の未来などどうでもいい。
夏油のことが今でも好き、それだけが事実。
は小さく笑みを浮かべ、

「はい」

ゆっくりと頷いた。



















【Ending1終】


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