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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第8章 【夏油傑】ひとでなしの恋【R18】






は何度も夏油の名を呼んだ。
何かに縋る子供のように。
泣きじゃくるを夏油は優しく抱きしめる。

「……っ、すぐ、る……。な、んで……っ、こんな……!」

嗚咽を漏らしながらは先ほどまでの情事を思い出す。
好きなように揺さぶられ、されるがまま喘いだ先ほどまでの行為を。

好きだった。
心の底から愛していた。
それなのに、何も言わずに姿を消した。
置いていかれてしまった、そのことがとても悲しくて。
だから呪術師をやめた。
夏油の面影を探して、どこにもいない夏油の姿に焦がれる日々に疲れてしまった。
だから呪術師をやめた。
の同期である五条と家入は何も言わなかった。
ただ、寂しそうな目で彼女を見送るだけだった。
一般企業に勤めて数年。
そこで夏油のことを忘れさせてくれるような人と出会った。
それなのに。

「こんなこと……もう……っ、やめて……っ!!」

なぜ今更になって。
ただの性欲の捌け口として抱いたのか。
いや、そんなこと今はどうでもいい。
思い出して蘇る淡く青い拙い感情がの心を締め付け、忘れていたはずの恋心が芽生えていく。
それがただただ哀しい。




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