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【雑多】be there【短編集】

第3章 【爆豪勝己】盲目をつきやぶれ






もし私がバクゴーと同い年だったら、なんてバクゴーに向けて、バクゴーではない誰かに自身の妄想を投げかける。
バクゴーのようなクソガキが同期にいたらきっともっと毎日が楽しかっただろうな。
大人の手を好きなだけ焼いて、あるいはまったく焼かせることなく、どれだけ無茶ができただろうか。
そこまで考えて、彼の他にインターンでエンデヴァー事務所にやってきたデクやショートのことも思い出し、笑みが零れた。
個性豊かな彼らが同じクラスだなんて、担任は相当手を焼いて可愛がってるに違いない。

いいな。
とても羨ましく思う。

子供の起きる気配はない。
着ているコートのボタンを一つ外そうとした手がふと止まった。
ああ、そうだった。
以前も寝ている少年に私のコートをかけたら、ものすごく怒られたんだった。

「俺を子供扱いすンじゃねぇ!」とか「俺はてめェの所有物じゃねぇンだよ!」とか。
きっとショートあたりに何か言われたんだろう。
確かにずっと彼を見守ってやることも守ってやることもできない。
成長すれば、大人になれば、ヒーローになれば、彼は守られる立場から守る立場へと変わっていくのだから、簡単に軽率なことをするべきではないのかもしれない。
周りから特別扱いをしていると思われるようなことは特に。
特別扱いをするべきではないと頭ではわかっているのに、この子を特別扱いしない人間なんているのだろうかと疑問に思う自分もいる。

この子は、特別だ。
なぜ特別なのかと聞かれたら───なぜだろう。




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