第6章 【石神千空】人はそれを○○と呼ぶ【R18】
「……ということが今までの経緯です」
事細かに詳細を語る氷月に、千空は怒りを超えて呆れに似たような深く大きなため息を吐いた。
その中には安堵のものも含まれていた。
とはいっても、自分以外の男と致した事実に変わりはなく千空は拭いきれない感情を抱いていた。
それを察知したモズは小さく笑うと、わざと彼女を抱きしめた。
「千空の可愛い可愛い恋人が、"千空くん、全然私に嫉妬してくれないよぉ。千空くんのこともっともっと知りたいよぉ"って泣きながら縋りついてきてさ~」
「ちょ……!!そんな風に言っていないんだけど!!」
「で、ちょっと千空の本性を見せてもらおうと思ってさ、仕掛けてみたんだよね」
「挿入もしていないのに、千空くんの嫉妬むき出しの顔を見てイくとは思いませんでしたが」
「あ゛~、とりあえずモズ。てめえから離れろ」
千空は苛立ちを隠そうとせず、モズに近づくと彼女の手を取り引き寄せ自分の腕の中に閉じ込める。
強く抱きしめられたことで、千空の心臓の音が耳に響く。
表情には出ていないが、その音はとても早く罪悪感とささやかな充足感とが交錯し、彼女は千空の胸に顔を埋めた。