第6章 【石神千空】人はそれを○○と呼ぶ【R18】
「ということがあって、今に至ります」
氷月は彼女がここに来た経緯を聞き、心底くだらないと思った。
要するにただの痴話喧嘩で、自分たちは現状巻き込まれているだけだ。
非常に面倒だ。
だが、氷月とは相反してモズはというとどさくさに紛れて彼女の肩をなれなれしく抱いている。
それに気づいているのかいなのか定かではないが、彼女は今もなお不満をぶちまけている。
「自分の恋人がさ、友人とはいえ男の人と二人きりで会うんだよ。信用しているっていってもさ、嫌じゃないわけないじゃん……。私はこんなに千空くんに我儘言ってるのに、千空くんは私に一切我儘言ってこなくてさ。我儘言ってほしいの、私は。千空くんが望むなら私さ……」
「それはもう千空の習性だろぉ?君から甘えて欲しいって言えばいいんじゃないの?」
「似たようなことゲンくんにも言われた……。簡単に言えたらこんなに苦労してないよ……」
「要するに、くんは千空くんにもっと自分の感情を見せて欲しいってことですね」
「つまり、嫉妬してほしいってことか」
「まぁ、そういうことになる……かな」
「それならさ、いい方法があるよ」
そういうと、モズは彼女の身体を優しく押し倒した。
急に視界が反転し、何が起きたか瞬時に理解できなかった彼女は目を丸くしてモズを見つめる。
不安な色を見せる彼女の瞳をモズは覗き込み、耳元に唇を寄せた。
「俺と、エッチしようか」
「………………はぁ⁉」
声を荒げたのは氷月の方だった。
「モズくん、冗談ですよね。さすがにそれはどうかと思いますよ」
「本気に決まってるでしょ」
殺気をモズに飛ばす氷月だが、それを一蹴しモズは着ていた服を脱ぎ捨て上半身裸となり彼女の上に覆いかぶさった。
羊のようにプルプルと震える彼女の髪の毛を撫で上げると、今まで聞いたことがないほどの甘い声で囁いた。
「怯えないでよ。大丈夫だからさ。ちゃぁんと段取りを説明するから。……あんたも協力してよね」
横目で氷月を見つめるモズは、小さく笑みを零すと自分が考えた作戦を二人に説明し始めた。
そして、その説明をし終わると同時に「さて、早速……」と舌なめずりをし、彼女のぷっくりと膨らんだ柔らかい唇にかぶりついた。