第6章 【石神千空】人はそれを○○と呼ぶ【R18】
「マジで聞こえなかったんだよ。相談なのかなんなのかわかんないけどさ、聞いてほしいならちゃんと言わなきゃじゃない?」
「モズくんの言う通りです。ちゃんとしましょう」
危険人物二人から正論をぶつけられるとは思っていなかった。
むぅ、と不機嫌な表情になるが彼らの言う事は正しい。
彼女は恥ずかしさを捨て、もう一度先ほどと同じ内容を紡いだ。
「千空くんに嫉妬してもらうにはどうしたらいいと思う?」
「………はい?」
「………なんて?」
「絶対聞こえてた。今の絶対わざと!!」
明らかに聞こえているはずなのに、同じリアクションをするモズと氷月に流石の彼女も大きな声を出してしまった。
聞こえなかったわけではない。
ただ、脳の処理が追い付かなかっただけだ。
恋愛相談されるとは誰が予想できただろう。
しかも相手は千空と来た。
情報量が多い。
「……君、千空と付き合ってるの?」
「そう。旧時代からずっと」
「それは……とても長い年月ですね」
「3700年以上のお付き合いってギネスに載るかも」
「…………それで、相談の内容ですが」
彼女のツッコミづらいボケを氷月はスルーし、なぜ嫉妬してほしいと思うのか、その経緯を彼女から聞き出す。
モズはモズで科学にしか興味のない男が女と付き合っているという事実に心躍ったのか、相談自体には前のめりの姿勢を見せた。