第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「なんで……」
心元ない声色。
そっと目を開ける。
「あんなことができたんだろう」
荒れ狂う後悔を噛みしめながら、懺悔するように髪に口づけてき五条を馨はじっと見つめた。
「こんなに綺麗な、髪を燃やすなんて……」
一本一本をすく様に優しく撫でてから、五条が髪に顔を埋めてきた。
犬のように。
それがくすぐったくて、気になっては身を捩った。
「あ、あの、その……」
言い淀む。それでも聞きたかった。
「臭く、ないですか?」
虚を突かれた五条は、一瞬顔を引き攣らせた後口を開けて―――喘ぐように息をついてから、そのままの胸元に顔を埋めた。
「そんなわけ、ねぇだろ」
違う、違うんだと言い募る男は、どうやら自分が口にしてきたであろう言葉を気にしているらしい。
今日だって、酷い臭いだと一蹴されたばかりなのだ。
その必死な様子に、目が丸くなる。
「オマエの身体からはいつも、太陽みたいな匂いがして」
「焦げ臭い?」
「違う……違う。温かくて、ひだまりのような」
すっと手のひらを取られ、血の滲んだそこに優しく口づけられる。
「優しい、匂いだ……」
掌に触れる五条の唇は熱く、触れられた所から火傷してしまいそうだった。