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【雑多】be there【短編集】

第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】






どうしようもないほどに望んでいて、望んでいなかった言葉をこれでもかというくらいにさらけ出されて。
歪んだ笑みを浮かべること以外、どうすることもできなかった。
は、喘ぐように息を吐き出した。
もう八方塞がりだ。
五条に対する罵詈雑言は全て吐き出した。
後は、子供の駄々のようなものが残るだけで。
強張っていた身体が、ほどけてゆく。
ゆっくりとベッドに身体が沈む。
柔らかいけど、底なし沼ではないベッドに。

「……卑怯者」

今ここで、身の内を曝してくるなんて。

「あぁ」
「先輩は、身勝手です。ずるい」
「そうだな」
「先輩は、最低です」
「あぁ」

つい数分前と同じように、五条は躊躇なく肯定した。
それを聞いても声を詰まらせた。
しかし先ほどと違っているところは、静かに頷く男が泣いているということだ。
そして、も。

「先輩は、―――馬鹿です」
「……あぁ」

大きな身体が、怯えたように縮こまる。
あんなにも大きく見えた男は、こんなにも小さな人間だった。
どうして、今の今まで気が付かなかったのだろう。

「ああ……そうだっ……」

ああ、そうなのか。

は、そこで理解した。
ここに連れてこられた時の五条の表情。
いつもの嘲笑とも、子供のような癇癪ともまた違う。
何か得体のしれない、静かで重苦しいもの。



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