第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「嫌いだと、思ってたッ……。オマエを見るといっつもイライラして、腹が立って、壊してやりたいと、ずっと思っていた!」
吐き捨てるように、五条が声を絞り出す。
しかし、それはどこか自嘲を含んでいた。
「でも違う。オマエはいつも一人で前を向いていて。俺を見てくれないことが嫌で、こっちを見て欲しくて、オマエを誰にもやりたくなくて、俺の、俺だけのものにしたくて……。だから、オマエを……犯した」
絞り出されるように吐き出された最後の単語に、はびくりと肩を震わした。
それを痛ましそうに見つめたまま、それでも五条は目を背けなかった。
の一挙一動を、全て脳裏に焼き付けようとしているみたいだった。
「髪を切ったのも、あいつが、あの男が、オマエの髪に触れたのを見ていて、それで、嫉妬して」
必死で言い募る男は、身勝手なことを話しているということに気が付いているのだろうか。
いや、気が付いているのだろ。
だからこんなにも、の肩を掴む手が、震えているのだ。
「オマエを傷つければ、オマエは俺のことが忘れられなくなる。俺は、オマエの記憶に一生残り続ける、そう思った。……だから」
「―――ふざけないで!」
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。
「何言ってんの⁉先輩は……ッ。……好き?嫉妬?……好き?」
は五条の襟に掴みかかった。
「先輩は好きな人を無理矢理犯すの!?罵るの!?髪を燃やして、挙句、あんなこと……!」
声が裏返ることも構わない。
とにかく声を張り上げたかった。