第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「信じられないのはわかっている。……散々ひどいことを言ったし、ひどいことを……した」
ゆっくりと、顔を上げた五条の表情は、醜く歪んでいた。
「それでも……オマエに許されなくても、誰かに愚かだと罵られても……」
いくつもの涙の痕が、頬に引かれていて。
淡い室内灯から光をうけて、ちらりと光る。
「オマエに触れたくて、抱き締めたくて、どうしようもないんだ……!オマエを欲しいと思う感情を、止められないんだ……っ!!」
それはもはや、悲鳴に近かった。
「―――オマエが好きで、狂ってしまいそうだ……!」
その言葉に、これ以上ない程に目を剥いた。
五条の青い瞳に映った少女が、驚いている。
自分だ。
好き、と、言ったのか、
目の前にいる人は。
何を?を?
を、好きだと?―――私を?
「……うそだ」
からからに乾いた喉で、しゃがれた声を絞り出す。
「うそだ、先輩が私を、好き?」
小さく、首を振る。
「嘘でしょ……。そう、やって私を油断させて、堕として、どっかの男の人の相手させる気でしょ!!」
さっき言ってたみたいに。
そう呆然と呟けば、「違う……」と傷ついたような顔をした男が、蒼白な顔のまま首をふるりと動かす。
その幼い動作に、ますますは混乱した。
を売ると言ったのは確かにこの男だ。
それなのに、どうして当の本人がそんな顔をしているのかわからなかった。