第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「せ、んぱい……」
なんで、という言葉を言う前に、五条が小さな嗚咽を漏らした。
さらに溢れた水滴が、の頬に降りかかる。
は息を飲んだ。
今自分を見下ろしているのは、、と小さなで掠れた声で名を呼んだ、先ほどの五条だった。
癇癪のように声を荒げ、をかき抱いた、あの。
五条自身も、どうやら泣いていることに驚いているようだ。
の頬にかかる水滴を、目を見開きながら眺めている。
そして、暫く呆然としたあと急に顔を歪めた。
くしゃりと、紙を丸めたような顔に見下ろされ、そこでようやくも実感した。
五条が、あの五条が、泣いている。
その不思議な光景は、は怯えることも忘れ目を瞬かせた。
「違、う……」
涙と共に、静かな声が落ちる。
「違う、違うんだ……こんなことを、言うつもりじゃ、なかった……」
途切れ途切れの言葉は涙に乗って、の耳朶にじんと響いた。
「抑えられないんだ、自分でも……オマエに、謝りたくて、来たのに……」
先程までの身体を撫ぜ、苛んでいた手が、そろりとの肩に移り縋るように掴まれた。