第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「体の関係はあんのか」
「ない、です」
力なく言い切ったを、五条は依然として何を考えているか分からない様子でじっと見下ろしてくる。
この会話は、先程もした。
あの時と違うのは、が五条に抱かれていないということだ。
それでも、五条の髪のように白い顔が見える今のほうが恐ろしいと感じるのは、おかしなことだろうか。
どうしても肌がぴりぴりと痛くなる。
張りつめた空気が、針の筵のようで。
「どうせ」
本当に突然という風に開かれた口に、は釘づけになった。
「慰めて貰う予定だったんじゃねえのか。そんなみっともない髪を見せつけて、哀れな女を装って」
明日の天気を尋ねるような、感情の乗らない淡々とした声色には溜まらず脚を蹴りあげた。
「危ねえな」
「先輩が!」
しかし体重を乗せられている身体では思うように動かせず、それは五条の手で簡単に防がれてしまった。
「先輩が、先輩がこんな髪にしたんじゃないですか……!」
悔しい。
たった一つしか変わらないのに。
男と女というだけで。
こんなにも無力で、惨めだ。
はいつも強い人間でありたいのに、五条の前では簡単に崩される。
こんな風に四の五の言う暇もなく強制的に連れてこられて。
あっという間にベッドに押し倒されて。
なんのためらいもなくの髪を切った男にいたぶられ続ける。
こんなこと、いつまで続ければいいのだ。
「そうだな」
あっさり素直に頷く五条に、一瞬喉が詰まってしまったのは気のせいではない。