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【雑多】be there【短編集】

第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】







嫌われている。
に、心の底から。どうしようもないくらいに。

やめろ。
何も言うな。
身勝手な思いが、溢れ出す。

『先輩の声も、もう聞きたくない』

痛む。痛む。痛む。
心が。心が。痛む。

の言葉が身体の隅々まで突き刺さる。
目の前が、濁る。
立っているはずなのにしゃがみこんでいる感覚だ。
ふらつきさえ覚える。
言葉、たった数個の言葉の羅列だけで人はここまで痛みを覚えるものなのか。
それが、存在そのものが愛しいと思う相手からのものならばなおさら。
愛情が憎しみに変わるという論理が、今なら少しだけわかる気がした。

『顔も、何もかも……全部全部もう見たくありません!先輩の存在が目障りなんです!それくらい、気づけ!』

もうの声すら遠い気がする。
耳鳴りがして、視界がぼやける。

やめろ。やめてくれ。
聞きたくない。聞いてはいけない。

それ以上の言葉を聞いてしまったら。
俺は―――。

『先輩なんて、五条先輩なんて―――大嫌いだ!』

耳鳴りの中、のその言葉だけが耳朶に響いた。
目の前が、真っ白になる。
大きな、固い鈍器で頭部を打ち砕かれた感覚に、眩暈を覚えたのは一瞬で。
気がつけば、を引きずるように連れ去っていた。
あれだけ動くことが大変だった脚は軽やかだ。
罪悪感も贖罪の念も後悔の念も、身体を侵食している。
だが、それだけだ。



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