第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「……じゃあ、顔を出しに高専に行くわね私」
再び思考の渦に巻き込まれていた五条の耳に、歌姫の声が反響した。
「に会ったら、また今度一緒に買い物に行きましょうって伝えておいてくれる?」
それだけを言って、歌姫は五条の横を通りすぎた。
連絡をしてほしいとも高専で待っているとも言わなかった。
本当に、どこまでわかっていてどこまでわかっていないのか。
姉妹のように仲のいい2人の関係が羨ましくて。
歌姫だけじゃなく、夏油や家入との関係も羨ましくて。
彼女の視線を少しでもいいから此方に向けてほしかった。
ない隙間を抉じ開け無理やり体を捩じ込ませた結果、を泣かせてしまった。
に、真実を聞かなければならない。
目を逸らしてはいけない。
たとえ、真実を知った時とてつもない後悔と苦しみに襲われることになったとしても。
再び五条は走り出した。
奥歯を噛みしめながら必ずを連れて帰ると心に誓って。
そう心に、誓ったはずなのに。