第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「―――いい加減にしてくださいっ」
は、声も枯れてしまうのではないかというほど叫んだ。
手のひらに乗せられた青いそれを、思い切り五条に向かって投げ捨てた。
制服に跳ね返った青は、音も立てずに地面に落ちる。
「なんなんですか!こんなの、こんなの持ってきて!!泣いた私がそんなにおかしいですか、馬鹿にしにきたんですか!」
地団駄を踏むように、靴を踏みしめる。
いやだ、こんな面倒くさいメンヘラみたいな癇癪起こしたくないのに。
「先輩は私のことが嫌いなんでしょう!だからあんなことを……ずっと」
五条にされてきたことが走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
痛い、目頭が痛くて熱い。
「先輩に喋るなって言われたから喋らなかった!目障りだって言われたから極力顔見せないようにした!笑うなって言われたから先輩の前では笑わなかった!?髪だって……っ」
声が裏返る。
感情が波立つのを抑えられない、止まらない。
「……なぁ、」
「これ以上、私は何を殺せばいいんですか⁉︎そんなもの……、そんなものなんてっ!」
強ばる五条の声を遮り、地面に落ちて砂まみれになったただのゴミを睨み付ける。
また、嫌われてしまう。
今まで以上に。
そうなればどんな扱いをうけるのかわからない。
嫌われること事態も嫌だ。
行き場のない思いが溢れ、は短くなった髪の毛を掻きむしった。
ぱさぱさと頬にかかるそれが煩わしくて頭をふる。
「いらないっ!そんなものいらないっ!もう、もう……、結べやしないのに……ッ」
「おい、聞けって……!」
「うるさい!」
悲痛なの叫びに呼応するように、五条が素早く手を伸ばしてくる。
この男の手に何度傷つけられたのか。
ずっと耐えてきた。
酷いことをされても、言われても、嘲笑われても、馬鹿にされても、どんなに冷たく扱われても、未だに捨てきれない五条の憧憬のため。