第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
そもそも、どうして彼が今ここにいるのだろう。
明日任務があるから早く部屋に戻ると言っていたのに。
考えられることと言えば私を追ってきたということだけど、それは絶対にありえない。
五条先輩がそんな事するはずがない。
見つめ合いが続いた。
場違いな選挙カーの音声が耳に入ってくる。
長い沈黙を先に破ったのは、それまで静かに事の成り行きを立ちすくんで見ていた川崎くんだった。
「……あの」
先程の動揺は消え失せ、静かに五条を見上げる瞳は冷静でどこか冷たい。
川崎くんはどんな相手にも大人な態度を崩さなかった。
中学時代、少しやんちゃな部分はあったが根は真面目な川崎君。
あの頃と何一つ変わっていないその態度に、少しだけ懐かしさを感じつつも、この場の雰囲気にの心臓は警報をあげていた。
「さんと同じ学校の方ですか」
川崎くんは、五条が来ている制服がと似ていると思い、もしかしたら同じ学校の生徒かもしれないと思った。
と同時に、不穏な空気を感じ取った。
五条を見上げる瞳は、警戒するように煌めいている。
「に何かよう―――」
用があるんですか、と聞きたかったらしい。
しかし、それ以上川崎くんは声を出すことができなかった。
五条に、鋭い目つきで睨まれたからだ。
でさえ見たことがないそんな表情。
ひゅっと、川崎くんの喉が鳴ったのをは確かに聞いた。
「軽々しく呼ぶんじゃねえよ」
その言葉に、川崎くんは目を見開いた。
水を張ったような緊張が辺りを包み込む。
は、そんな五条の様子に固く唾を呑む。
恐怖は多少なりともあった。
しかしそれ以上に困惑の方が勝った。