第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「え……?」
先に声を上げたのはだ。
なぜなら、思い切り腕を引っ張られ、倒れ込むように大きな腕に抱き止められたからだ。
ふいに鼻を掠める、嗅ぎ慣れた匂い。
柔軟剤と汗と、甘い―――。
つい先程までこの匂いの側にいた。
その香りに、体が自然と強張り硬直する。
顔をあげることができない。
それでもは顔を上げた。
こんなところにこの男がいることが信じられなかったから。
「先輩……」
案の定の腕を痛いほどに掴んでいる男は、五条だった。
つい先程、を乱暴に抱き、髪を燃やし千切った男は、今度は鋭い目付きで、川崎くんを睨み付けていた。
「触んな」
たった一言。
だが他のものを圧倒するかのような声色は、五条が特別な人間であることを再認識させてくる。
川崎くんも同様だ。
急に現れた日本人離れした男に命令され、口を開けて固まっている。
なんで先輩がここに。
が問う前に、五条は急に声を荒らげた。
「こいつに触れていいのは、俺だけだ……!!」
そう言いながら、を強く抱き締めてくる。
強いながらも壊れ物を扱うようなその感覚に、は絶句した。
一体、なにを。