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雪月花【鬼滅の刃/短編/R18】

第1章 血鬼術【宇髄天元/*】



円華は俺の継子で"乙"という階級まで上り詰めた強気な女だ。
今回の鬼ぐれぇじゃ殺られるようなヘマはしねぇだろうし、先刻も音を聞く限り苦戦している様子は無かった。
だと言うのに、いくら待っても円華が屋敷から出て来ねぇから、一瞬でも不安が過ぎった。

万が一、不測の事態が起きたのだとしたら…?
十二鬼月が現れたんだとしたら…?

そう思うと居ても立っても居られず屋敷内をくまなく探していると、ひとつの部屋から人の気配と金属音が聞こえた。だが戦ってる様子はない。

(鬼の気配、はねぇな…)

となれば、人の気配はひとつしかねぇ。

「おい、円華!まだ終わってねぇ、のか…って、何してんだ、お前」

襖を思いきり開け放つと、円華は部屋の真ん中で鎖で縛り上げられていた。
鬼は恐らく斬ったんだろう。それは気配や状況で分かる。だが何がどうしてこうなったのか皆目見当もつかん。

つーかよくよく考えてみりゃ、十二鬼月が居たとすれば、ここいら周辺吹っ飛んでる可能性の方が高い。

「…宇随さーん、これ切って?」

そんな事を考えてると甘えた声で強請る円華にふつふつと怒りが込み上げてきた。

「馬鹿か、お前は。油断すっからんな事になんだよ」

「ごもっともすぎて何も言い返せません!ごめんなさい!」

「派手に開き直んじゃねぇ!…ったく、中々屋敷から出てこねぇから来てみりゃ、なんだこのザマは」

「あははー…面目無いです…」

あんだけ焦って探しまわったっつうのに、危機感のない能天気な円華を呆れ様に叱る。

怪我は無さそうだが、白い太腿にまで絡まるように縛られた円華にいらぬ感情が芽生えた。
彼女を前にその柔らかい太腿に掌を乗せるとピクっと体が反応を見せる。

「う、宇髄さん…?お、おお音柱様!?何をお考えで!?」

「…油断した円華にはド派手に仕置きしなきゃなんねぇな、って」

狼狽えている円華に構わず、細い腰を抱き首筋に噛み付き、強く吸うと白い肌に赤い花弁が主張するように咲いた。
俺をここまで心配させたんだ。仕置きぐらいしなきゃ気が収まらない。
体を強張らせ、顔が引き攣っている円華に笑みを浮かべた。

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